2025.01.22 MAGAZINE CASE

「冷凍はおいしさを表現できる技術」ミシュランシェフのピザ×冷凍の新しい挑戦

「CRAZY PIZZA」は、本場イタリアの星付き店をはじめ数々の名店で経験を積んだシェフがもてなすイタリアン「DonBravo(ドンブラボー)」(調布市・国領)のシグネチャーである「〆のピザ」にフォーカスした専門店。都心から離れた場所にありながら客足が絶えない人気店「ドンブラボー」の本格ピザが食べられると話題を集め、ミシュランガイドのビブグルマン2023 / 2024にも選出されています。

そして、「CRAZY PIZZA」のピザを、場所や時間に縛られず、食べたい時に楽しんでほしいという想いから、冷凍ピザのオンラインストア「CRAZY PIZZA:LIFE」を2024年5月にオープン。その「CRAZY PIZZA:LIFE」で、ミシュランシェフの本格ピザを全国に届けるために採用されたのが「アートロックフリーザー」です。今回、「ドンブラボー」 / 「CRAZY PIZZA」のオーナーシェフである平 雅一氏に、「CRAZY PIZZA:LIFE」開業の想いや、冷凍への可能性をお聞きしました。

どうして冷凍ピザブランドを始めようと思ったのですか

ルーツである「DonBravo(ドンブラボー)」では、コース料理の〆にピザを提供していて、お客様から好評いただいていました。そのピザを切り取った専門店が「CRAZY PIZZA」で、東京の神楽坂と虎ノ門に店舗を構えています。そして、「CRAZY PIZZA」のピザを、もっと気軽に、食べたいと思った時に楽しんでいただくために、2024年5月に冷凍ピザブランド「CRAZY PIZZA:LIFE」を開業しました。

イタリアの郷土料理に日本らしい食体験を落とし込んだ、平シェフの繊細で独創的な料理と、素材にこだわった本格ピザが人気のイタリアン「ドンブラボー」。最高級の味がカジュアルに味わえる他にはない体験に魅了され、毎日予約で満席。離れた場所からも多くのファンが通いつめる人気店です。(https://www.donbravo.net/

「CRAZY PIZZA」は、「ドンブラボー」がありがたいことに連日予約で満席になり、地元のお客様にご利用いただけない状況が続いていたことを受けて立ち上げた新業態です。僕が厨房に立つ店に限定せず、たくさんの人に喜んでもらうためにどうしたらいいかと考えた時に、「〆のピザを切り取る」というアイデアが浮かびました。レシピを統一し、冷凍技術を活用して生地を量産すれば、効率的かつ味がブレることもありません。

また、ピザ専門店を多店舗展開することで、ビジネスとしてもお金が回り、お客様だけでなくスタッフも報われる仕組みを創りたいという目的もありました。料理人がしっかりお金を稼げる環境を築き、優秀なスタッフに長く働いてもらいたい。独立ではない「チームでいいものを作る」という選択肢を料理人に提案したかった。これらのお客様(食べ手)とスタッフ(作り手)双方に対する願いが根底にあり、「ドンブラボー」、「CRAZY PIZZA」、そして冷凍ピザブランド「CRAZY PIZZA:LIFE」へと展開していきました。

ディナーコースの〆に考案された、満腹でもおいしく味わえる「ドンブラボー」 / 「CRAZY PIZZA」のピザ。挽きたての国産全粒粉を使い、水ではなく玉ねぎ水やホエイを混ぜ合わせることで塩分を抑え、素材の風味と旨味を最大限に引き出しています。

開業から約半年たち、反響はいかがですか

「CRAZY PIZZA」の実店舗があるのに、どれだけの人が喜んでくれるだろうかという不安はありました。 デリバリーピザのブランドも沢山ありますし、果たしてうちの冷凍ピザを選んでもらえるのだろうかーーーと。でも始めてみると、うちを知ってくれている人や地元のお客様からはじまり、徐々に評判が広がっていきました。今では、毎日多くの注文をいただき、1日に300〜400枚のピザを製造しています。百貨店の催事や音楽イベントへの出店など、自分たちで広げる動きを進めたり、雑誌やテレビなどのメディアでご紹介いただいたりと、皆様の目にふれる機会を得たことで、少しずつお客様が定着してきました。

1日に300〜400枚のピザを冷凍する「アートロックフリーザー」。コンパクトな冷凍機の中には、何段ものピザが並んでいます。
「ドンブラボー」では薪窯を使用していますが、「CRAZY PIZZA:LIFE」では薪よりも温度管理がしやすく、粉のおいしさが引き立つ電気窯を使用。窯から取り出した焼きたてピザを、すぐにアートロックフリーザーで凍結しています。

また、企業や飲食店から「CRAZY PIZZA:LIFE」の冷凍ピザを仕入れたいという声も多数いただいています。ホテルやワインバーなど、厨房スペースが小さいお店や調理スタッフが不足しているお店で「手軽に本格的な料理を提供したい」というニーズがあり、僕たちのピザは非常に相性が良いと聞きます。現在全国で30件以上取引があり、toCとtoBの売り上げ比率はおよそ7:3ほど。お店での提供のほか、レストランチェーンのテイクアウト商品として販売されている事例もあります。想定外の反響でしたが、業界内の人間関係から噂が広がり引き合いが続々と増えており、人との繋がりの大切さを身にしみています。

アートロックフリーザーを選んでいただいた決め手はどんなところでしたか

アートロックフリーザーで凍らせたピザは、ハーブやトマトの香りがしっかり残り、焼きたてのピザの風味、食感の再現性が高く、色々試した中でも、シンプルに味が一番よかったところです。些細な違いでも、大量に作る時には一層差が開くことが想定されます。一つひとつこだわった素材が生きているところが決め手になりました。また、製造キャパシティの側面でも、安定した品質で目標数量を製造できるところも魅力でした。

「CRAZY PIZZA:LIFE」のサイトから注文できる。人気定番メニュー4種のセットや定期購入など、メニューや購入スタイルがバリエーション豊富に用意されています。(https://crazypizza-life.shop/

今後、冷凍技術を活用して挑戦したいことはありますか

僕の店でしか食べられなかったピザが、焼きたてを再現した品質で全国に届けられるようになりました。これだけでも革新的なことですが、今後はさらに、時間や場所を選ばずに提供できるという冷凍の特性を活かした体験を考えたいです。例えば、銭湯でお風呂上がりにビールとともにピザが味わえるとか。

冷凍はおいしくないとネガティブに捉える風潮もありましたが、最近はおいしい冷凍食品が開発されたり、冷凍だからこそ新鮮でおいしいという思考が生まれてきたりと、時代とともに冷凍に対する見方が変化しています。僕が考える冷凍は、「おいしさを表現できる技術」です。表現というのは、冷凍に限らず、お店であれば空間デザイン、お皿、音楽。お店を飾る看板だってそう。それらが掛け合わさることで、おいしさは表現されます。そのアプローチの一つとして、冷凍は大きな可能性を秘めている。これまで考えられなかったような場所、シーンでピザを味わい、新しい楽しさや喜びを味わってほしい。ピザと冷凍の掛け合わせで、想像を超えた食体験を考えていきたいと思います。

「CRAZY PIZZA:LIFE」の冷凍ピザを体験してみました!

今回、「CRAZY PIZZA」実店舗の人気メニュー4種(マルゲリータ、マヨコーン、しらすカラスミ、マリナーラ)が入った、「CRAZY PIZZA」の味を楽しめる定番セットを注文してみました。到着した箱を開けると、冷凍ピザとガイドブックが登場。見ているだけでワクワクして、食べる日が待ち遠しくなります。

レンジであたためた後に、フライパンで表面がフツフツ、底面がクリスピーな状態になるまで加熱して完成。「LIFEにフィットする調理法」にあわせたサイズ(直径20cm)に設計されているので、フライパンに収まりやすく、煩わしさがありません。

完成したピザは、お店の焼き立てのピザのようにいい匂いです。生地は外側はカリっと香ばしく、中はしっとりもちもち。こぼれそうなほど具がたっぷりで、ソースからも素材の味を感じます。ミシュランシェフが手掛けた本格ピザが家庭で手軽に食べられる驚きと喜びで、家族は大満足。次のピザタイムはいつだろう?と、あっという間にとりこになりました。

プロフィール

Don Bravo / CRAZY PIZZA オーナーシェフ

平 雅一(たいら まさかず)

1979年生まれ。広尾「アッカ」に勤務後、イタリアのミシュラン 二ツ星の名店で3年修業。帰国後、広尾「リストランティーノ バルカ」現「TACUBO」に勤務し、三宿「ボッコンディビーノ」でシェフを務める。2012年6月出身地でもある調布市国領にイタリアンレストラン「ドンブラボー」を、2020年にはピザ専門店「CRAZY PIZZA」を開店。

2025.01.30 MAGAZINE CASE

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2024.12.16 CASE PRESS

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