弁才天は、全国に35店舗を展開するフルーツ大福の専門店です。もぎたてフルーツをまるごと使用した贅沢で彩り豊かなフルーツ大福は、地元客や観光客に大人気。弁才天では、この商品を長くおいしく食べてもらうために、最新の冷凍技術を採用しました。これまでどの急速冷凍機でも突破できなかったフルーツの品質保持を叶えたアートロックフリーザーで「半解凍で食べる新感覚冷凍フルーツ大福」のECをスタートし、ECの売上は約5倍に成長。今回、弁才天が冷凍商品の発売に至った背景や開発の裏側について、水鳥功雄代表にお話をお聞きしました。
ーーーーフルーツ大福の専門店を始められた背景を教えていただけますか
創業者と私で、新規立ち上げのコンセプトを模索していた時に、当時はまだ注目されていなかった「フルーツ大福」の専門店はどうだろうかと着想しました。立ち上げ初期は和菓子に詳しい人がいなかったので、YouTubeを見たり他のお店のフルーツ大福を食べてみたりしながら、初心者でも包める方法を研究し、少しずつ品質を上げていきました。今は弁才天のブランドをフランチャイズ含め35店舗展開しており、そのうち12店舗が直営店です。
ーーーー冷凍技術を活用しようと思われたきっかけを教えてください
食べごろの完熟フルーツを使用しているからこそ、弁才天のフルーツ大福は賞味期限が短く、例えばお客様が遠方に持って行かれる時には、着いたその日に食べてもらわないといけなくなることが課題でした。「少しでも長く、おいしい状態で食べていただくこと」を実現する手法として検討したのが、冷凍技術です。また、弁才天のフルーツ大福は一つひとつ手作りなので、 製造量に限界があり、繁忙期には注文が入りすぎてお客様に届けきれない場面がありました。おいしく食べられる期間を伸ばすだけでなく、計画的に生産してお客様のご要望に最大限応えたいというのも、冷凍の力を借りたいと考えた背景です。
ーーーー急速冷凍を実際に試してみて、いかがでしたか
フルーツを冷凍すると、解凍したときに素材本来の香りや風味、甘味が損なわれ、状態が悪くなってしまいがちです。弁才天のフルーツ大福は、主役である果物がおいしいことを大前提に考案した商品です。フルーツの状態が悪くなるなら、冷凍できない。何年もかけて色々な急速冷凍機を試しましたが、どうしてもそこを突破できませんでした。やはり冷凍は難しいのだろうかーーーと諦めかけていた時に、アートロックフリーザーに出会いました。
凍結テストをしてみると、最初は信じられませんでしたが、私たちが求める品質を実現できたんです。解凍後のドリップが少なく、香りや風味、甘さが保たれていて。弁才天では年間約30種類のフルーツを扱いますが、どれも品質が良いことを確認できました。フルーツは、素材のフレッシュさが魅力です。冷凍してもその魅力が残っていることが重要で、これまで試した冷凍フルーツにはなかなか納得できなかった。アートロックフリーザーで求める品質を実現できたことは本当に嬉しかったですし、導入の決め手になりました。
ーーーー冷凍技術を活用して、どのように事業を展開されたのですか
香り・風味・甘味は限りなく生に近い状態を再現できますが、食感については、全解凍するとどうしても水分が出て柔らかくなってしまいます。そこで、半解凍の状態でお召し上がりいただくことを推奨する、新感覚の冷凍フルーツ大福として販売することにしました。
店頭では生のフルーツ大福、ECでは生と冷凍の両方を販売。「すぐに召し上がりたい方は生のフルーツ大福」「ゆっくり楽しみたい方やギフトには冷凍」のように、その時の気分やシーンに合わせて商品を提案することで、選択肢が広がり、ご好評いただきました。
売り上げ比率は、店舗とECが7:3ほどです。ECは自社サイトやアマゾン、LINEギフトなどで販売しており、ECの生と冷凍の内訳は、プラットフォームによって異なりますが、例えばアマゾンでは約8割を冷凍が占めています。
ECの売り上げは、始めた頃と比較して約5倍に伸びています。アマゾンで販売を始めたことが大きく影響しましたね。アマゾンには、冷凍倉庫で保管して、お客様から注文が入ると即日発送してくれるサービスがあります。欲しいときにすぐ買えるスピード感はバリューがあり、自社ECだけで展開していた時よりも圧倒的に注文数が増えました。
ーーーー半解凍の食べ方は、どのようにご案内されていますか
解凍時間の目安を記した説明書を同梱して、食べ方をご案内しています。解凍方法は常温か冷蔵。常温解凍は室温によりますが1時間程度、冷蔵解凍は3~4時間程度です。電子レンジは今のところ推奨していません。フルーツは個体差がありますし、各家庭によってレンジの機能も違う。さらに、レンジの中に置く場所によっても、入れる個数によっても、解凍の具合は変わります。その細かい調整をお客様にご対応いただくのは難しいですし、解凍がうまくいかず品質が損なわれるのは避けたかった。早く食べられるメリットはありますが、品質の安定を重視して、冷蔵か常温をご案内しています。
ーーーー冷凍商品は、生のフルーツ大福とレシピを変えていますか
そのままで十分品質がよく、変える必要がなかったので、レシピは変えていません。導入前は、お餅の品質を心配していました。原料がお米なので、冷凍 / 解凍することで、もちもちとした食感が損なわれる現象(β化)が起きないかと。実際に試してみると、生と変わらない食感を再現できたので、冷凍用に水分量を変えるなどの調整は必要ないと判断しました。お陰で、お餅の部分は生と同じ材料を使用でき、オペレーションに負担がかかることもありません。
冷凍商品の製造量は、平均すると1日に100個程です。生のフルーツ大福は発送する日に作りますが、冷凍商品はある程度前もって製造できるので、生の大福の製造量が少ないときにちょっと多めに作るなど、計画が立てやすくなりました。ただし、基本的には受注が入ってから作る方針なので、半年前に製造した商品を送るようなことはありません。長くても1週間以内に作ったものを発送しており、冷凍商品の賞味期限は「発送から180日」で統一しています。
ーーーーフルーツ大福以外の商品にも、冷凍技術を活用されていますか
今のところ冷凍はフルーツ大福だけですが、ほかの商品にも活用する可能性はあります。弁才天では、フルーツ大福以外に、ピーナッツクリームを柔らかな求肥で包んだ「砂利餅」シリーズや、期間限定商品を販売しています。ちなみに今は、バレンタイン向けのチョコレート大福を準備中です。フルーツ大福ブームがずっと続けば一本でいいかもしれませんが、流行は変化するものです。お客様を飽きさせないためにも、進化しているところを見せる必要があります。フルーツ大福以外の商品開発にも力を入れており、求肥やあんこのフレーバーアレンジを含め、新商品を出すのは2ヶ月に1回程のペースです。
その商品開発において、「冷凍」は一つのテーマにしています。フルーツ大福のように生と冷凍で食べ方を変えるのではなく、解凍して提供できるなら保存期間が長く、計画的に生産できるので、そういった商品も視野に入れています。
ーーーー今後の展望を聞かせてください
フルーツ大福はインバウンドの方々からとても評判がいいので、これを発展させて海外に展開させたいと考えています。現地で作るのではなく日本で作った品質の高いものを冷凍して海外に持っていく。それが軌道にのれば、現地で作るスキームを試してみても面白いかもしれません。日本のフルーツは世界で評価が高く、例えば国産のいちごは海外産のベリー類とは別格です。
従来の冷凍はおいしくないイメージがありましたが、今はそうではない。冷凍を活用するタイミングも良かったと思います。フルーツ大福を通じて、日本が誇るおいしいフルーツと和菓子の魅力を世界中に届けることが、私たちの願いです。
企業名:株式会社弁才天
代表:代表取締役 水鳥功雄
住所:愛知県名古屋市
事業内容:フルーツ大福専門店経営
弁才天は、全国に35店舗を展開するフルーツ大福の専門店です。もぎたてフルーツをまるごと使用した贅沢で彩り豊かなフルーツ大福は、地元客や観光客に大人気。弁才天では、この商品を長くおいしく食べてもらうために、最新の冷凍技術を […]
「CRAZY PIZZA」は、本場イタリアの星付き店をはじめ数々の名店で経験を積んだシェフがもてなすイタリアン「DonBravo(ドンブラボー)」(調布市・国領)のシグネチャーである「〆のピザ」にフォーカスした専門店。都 […]
品質維持と安定供給の体制強化を実現。家庭で名店の味を楽しめる商品展開も視野に 特殊冷凍ソリューション事業を展開するデイブレイク株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:木下昌之)は、仙台名物牛たん焼きの専門店「味の牛たん […]