中華料理レストランを全国に4ブランド・41店舗を展開する株式会社浜木綿では、セントラルキッチンで料理の仕込みを急速冷凍し、店舗に配送するコールドチェーンを用いた製造拠点の集約を取り入れています。この度、さらなる品質向上や店舗負担の軽減を目的に、アートロックフリーザーを導入しました。愛知県を代表する中華料理レストランが、冷凍技術を活用して何を目指すのか。アートロックフリーザーを取り入れた背景や実績、今後期待することについてお話をお聞きしました。
ーーーー特殊冷凍を取り入れた背景を教えてください
浜木綿では、以前から料理の仕込みにおいてコールドチェーンを取り入れています。店舗で提供するメニューを工場(セントラルキッチン)で調理し、冷凍したものを店舗に配送。店舗で加熱調理して仕上げる運用です。しかし、従来の冷凍では品質が劣化してしまうことと、製造能力の限界があることを課題を感じていました。品質面では、ドリップが出て水っぽくなり味がブレてしまう。製造量の面では、もっとたくさんのメニューを冷凍で仕込みたいけれど、製造が追いつかず店舗で一から調理せざるをえなかった。そこで、品質と生産性の向上を目指して、より高度な冷凍技術の導入を検討しました。
ーーーー特殊冷凍と従来の冷凍で品質の差はありましたか
これまで様々な急速冷凍を試しましたが、アートロックフリーザーで凍結した時に、できたてと遜色がないところに驚かされました。特に違いを感じたのは点心です。浜木綿には大根を使用したが点心あり、これまでは大根から水分が出て食感に納得いきませんでした。アートロックフリーザーはドリップがなく、お店で提供している品質に限りなく近い状態を再現できます。点心の他にも色々なメニューを試してみて、いずれも食感が良い印象でしたね。今までの冷凍技術とは一線を画していると感じます。あらゆるメニューに活用できるので、店舗運営への効果を期待して導入しました。
ーーーー製造量の部分でも差がありましたか
導入前は一品の凍結に何時間もかかり、目指している凍結量に至りませんでした。アートロックフリーザーの場合、メニューにもよりますが、凍結時間は一品およそ30分~1時間です。製造時間が約50〜70%短縮されて、回転が大幅に良くなりました。全店舗の仕込みを一つの工場に集約しており、一品の凍結量はおよそ600kg / 月です。冷凍を使うものと使わないものがありますが、提供しているメニューの数は約100品。導入してかなり製造量は増えましたが、まだ活用の余地がある印象です。
ーーーー冷凍機の導入後、店舗運営やオペレーションに、影響がありましたか
導入から約1年が経って、料理長や調理スタッフから、作業がスムーズになった、美味しくなった、という声を耳にしており、効果を実感しています。うちに限らず他の飲食店でも起きている現象として、人手不足の問題があります。冷凍技術を活用して確かに店舗負担は軽減されましたが、一方で人も減っているので、現場スタッフの体感は実質そこまで差がありません。従来のオペレーションのままだったら、相当大変だったでしょう。
浜木綿は各店舗に1人料理長がいて、料理長の管轄の元で調理をする中間層がいますが、一番育てたいこの層がなかなか増えません。簡単な最終工程だけで仕上げられるメニューを増やして、実際に手を動かす彼らの負担を減らしたいと考えています。それによって、一つひとつの調理に丁寧に向き合い、作業の軽減だけでなく「成長」に繋げてほしい。冷凍できるメニューを増やしてお店の負担を減らしながら、従業員の育成や、より美味しい料理の提供を実現することが目標です。
ーーーー冷凍を活用して仕込むメニューを増やす計画はありますか
現状、店舗で一から調理しているものと、工場で仕込んでお店で仕上げるメニューの割合は半々くらいです。店舗負担を減らし、味のブレをなくして品質の向上・安定を図る目的で、冷凍を活用して仕込む割合を増やそうとしています。
現状はすべて加熱調理して提供しているので、常温や冷蔵解凍だけで提供できるメニューは、開拓の余地がありそうです。副菜やデザートなど、冷めた(または冷たい)状態で提供するものは相性がよいかもしれません。どのメニューを対象にできるかの検証が必要ですが、特に気になるのは野菜がどうなるかですね。油でコーティングしたり軽く茹でたり、一工程加えることで品質は格段に良くなると思いますので、冷凍用のレシピを考えることも必要かもしれないと想定しています。
ーーーー仕込み以外の部分での活用の可能性もあるのでしょうか
少し前から、餃子や饅頭の冷凍商品を一部店舗で販売しています。浜木綿は開業から50年が経ち、5世代にわたって来店されるお客さまもいらっしゃいます。ご自宅でお店の味を楽しめる商品を提供することで、お店を支えてくれるお客さまにお喜びいただきたいと思い、スタートしました。お客さまに新しい楽しみを提供するために、今後、冷凍商品のラインナップ拡充を検討しています。
ーーーー冷凍技術を活用した新商品開発も考えられていますか
新商品の開発には今のところ至っていません。まずは既存メニューの中からより相性のいいものを探す検証を進めているところです。既存商品をそのまま冷凍するのもいいですが、これまでの浜木綿にはなかったような商品開発をしてみるのも面白いと思います。例えば過去の凍結テストで相性がよかった点心系をアレンジしてみるとか。
チャーハンも、極めてみたい食品の一つです。巷で流通している冷凍チャーハンの品質はどんどん上がっていますが、まだまだ冷凍せずに作った方が断然美味しい。チャーハンは、お米の表面はパラパラで、お米の中はジューシーでないと美味しくありません。中まで乾燥してパサパサでは、チャーハンとしてはダメなんです。その絶妙なお米の食感を冷凍で再現できたら凄いと思います。チャーハンは冷凍食品の代表のようで奥が深いので、チャレンジしてみたいですね。
ーーーー冷凍に期待することを聞かせてください
ドリップが出ず旨味が逃げないから本来の美味しさを再現できるというのは、改めて凄い技術だと思います。例えばお魚やお肉は、生で輸送するよりも新鮮なときに冷凍した方が美味しいですよね。鮮度の部分では確かに言えることだと思いますが、我々が扱うような調理済みの食品に関しても「冷凍した方が美味しい」ことが実証できれば、強い味方になります。
会社が目指している方向性に対して、冷凍が貢献できる部分は沢山あります。浜木綿は、東は東京(国分寺市)西は大阪(枚方市)まで店舗がありますので、やっぱり冷凍でないと物流がなかなか難しい。冷凍技術がますます進化すれば、あるいは冷凍の活用のノウハウを知ることができれば、冷凍するメニューがどんどんが増えていくと思います。
中華料理も、「冷凍した方が本当に美味しい」という新しい価値観の広がりを期待しています。これまで考えられなかった発想ですから、それがスタンダードにできれば凄いですね。
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