2025.02.27 CASE INTERVIEW

冷凍技術の活用で伝統を守る。有田焼カレーの挑戦

佐賀県・有田町の名産有田焼の器にこだわり、見た目も美しく楽しませてくれる「有田焼カレー」を展開する有田テラス。全国へその魅力を届けるため、同社は最新の特殊冷凍機アートロックフリーザーを導入しました。これにより、できたての風味や食感をそのままに、有田焼カレーをより多くの人々に届けることが可能に。伝統工芸と食文化の融合を目指し、有田焼の魅力を次世代へとつなげていく――そんな想いを胸に挑戦を続ける有田テラスの代表・廉隅(かどすみ)浩介氏に、導入の背景や今後の展望を伺いました。

全国駅弁大会日本一を受賞した有田焼カレー。従来の冷凍商品はごはんの品質劣化が課題

ーーー「冷凍×有田焼き」のアイデアは、どのようにして生まれたのですか

有田テラスは、もともと約30年前にカフェレストランとしてスタートしました。しかし、時代とともに有田焼の需要が減少する中で、「このままでは有田焼の文化が衰退してしまう」という危機感が高まっていました。そこで、2005年に有田駅に赴任した駅長(佐世保バーガーや長崎ランタン祭りを全国区にされた方)を中心に、地域の伝統文化である有田焼の価値を見つめ直し、その魅力を広く発信することで地域を活性化しようというプロジェクトが立ち上がったのです。

試行錯誤を重ねながら、2007年に有田駅のイベントで「有田焼カレー」を発表。翌2008年5月には、テレビ番組が企画した「全国駅弁大会」で見事日本一に輝きました。この快挙をきっかけに、全国初のカレー弁当は注目を浴び、通販事業をスタート。当初は冷蔵での発送でしたが、全国のより多くの方々に届けたいという想いから、やがて冷凍販売へと展開していきました。

しかし、当時の冷凍は一般的な冷凍だったため、カレーとごはんを一緒に冷凍するとごはんが白蝋化してしまい、本来届けたい品質を維持できない課題に直面しました。「せっかく有田焼の器で提供するのだから、味も最高の状態で届けたい」という思っていた矢先、アートロックフリーザーに出会い、「これなら理想の品質を実現できるかもしれない」と試してみることを決意したのです。

ーーーーテストをされた時の印象はいかがでしたか

実際に試してみると、できたてに限りなく近く、これまでの冷凍品と比べて格段に美味しく仕上がっていると感じました。特に驚いたのはごはん。ふっくらとした食感があり、白蝋化も起こらず、冷凍特有の違和感がほとんどありませんでした。カレーのほうは、もともと野菜やお肉をしっかり煮込んでいるので食感の変化は感じませんでしたが、風味や味わいの深みがしっかりと保たれている印象で、これならお客様にも満足していただけるだろうと感じました。

有田焼にカレーを盛り付けて凍結。器も美しく、味も美味しい。進化した冷凍有田焼カレーが完成

ーーーー有田焼カレーは器ごと凍結されているのですか

ごはんとカレーを有田焼の器に盛り付けた状態で凍結し、そのままパッケージ化しています。お客様には、レンジで温めるだけで手軽に楽しんでいただける形です。

有田焼自体は高・低温には耐えられますが、急激な温度変化にはそれほど強くありません。そのため、凍結の際には一度冷却の工程を挟み、まず温度を20℃以下までゆっくり下げてから、特殊冷凍で一気に凍結しています。この方法によって、器や機械への負担を抑えながら冷凍時間を短縮し、品質の安定にもつながっています。従来品の課題だったごはんの品質劣化が見られなくなり、さらに美味しく、器の魅力と一緒に届けられる新しい冷凍有田焼カレーが完成しました。

アートロックフリーザーでリニューアルされた新しい冷凍有田焼カレー

地域のスーパーから都心の大型店舗まで、小売店への卸も意欲

ーーーー新しい冷凍有田焼カレーは、いつ頃からどこで展開される予定ですか

現在、冷凍品はすでにECやふるさと納税で出品していますが、春頃からはアートロックフリーザーを活用したリニューアル商品へと切り替えていきます。計画的に生産を進められるようになったので、冷凍有田焼カレーの卸販売も拡大していく計画です。地域に根差すスーパーから都心に展開する大型店まで幅広く展開し、多くの方に手に取っていただける環境を整えていきたいと考えています。冷凍の魅力は、保存期間の長さと長距離配送が可能なことです。この特性を活かして、日本全国へできたて品質の有田焼カレーを届けます。

ーーー有田焼の魅力発信のために取り組まれていることはありますか

有田テラスでは、有田焼の魅力をより多くの人に知ってもらうために、キャラクターとのコラボレーションにも積極的に取り組んでいます。現在はサンリオとのコラボレーションを展開しており、「ポムポムプリン」とのコラボは今回で4回目を迎えました。30〜40代の方々に根強い人気があり、この企画を通じて、これまで有田焼に馴染みのなかった新しい層にも手に取っていただく機会が増えました。このように伝統工芸に親しみを持ってもらうきっかけを作ることで、有田焼の魅力をさらに広めていきたいです。

ーーーー有田焼カレー以外に冷凍を活用される可能性もありますか

例えば、有田焼の器にチーズケーキを入れた冷凍商品は、既に冷凍で展開しています。もともとスイーツの冷凍は、プリンで実現したかったんです。でも、これまでの技術では冷凍が難しく、フローズンアイスとして販売していました。もしプリンが冷凍できるようになったら、今までにない楽しみ方が生まれるはずです。冷凍技術の進化で、できなかったことができるようになり、もっと自由に、有田焼に新たな価値を吹き込めるようになりました。カレーだけでなくスイーツやさまざまな商品に冷凍技術を活かして、有田焼とともに挑戦を続けていきたいです。

有田焼の魅力を一層広げ、次世代の作り手が誇りを持って取り組める環境を築きたい

ーーーー冷凍×有田焼の今後の展望を教えてください

有田焼の業界は、需要減少や後継者不足が叫ばれていますが、食とのコラボレーションを通じて、再び注目してもらえたら、有田焼の魅力を広める大きな一歩になります。

有田焼には、グレードの高いものや凝ったデザインが施された素晴らしい作品がたくさんあります。私たちの有田焼カレーも、地元の作家さんやキャラクターとのコラボレーションを企画し、さまざまな形でその魅力を伝えています。「有田焼カレー100選」というと大袈裟かもしれませんが、様々なアイデアを取り入れて次世代の作り手たちにも有田焼の可能性を感じてもらい、後継者が誇りを持って取り組めるような環境を築きたいです。

有田焼カレーは、お皿単体ではなく食と組み合わせることでより多くの方に手に取っていただけて、食べ終わった後も繰り返し楽しんでいただける点が魅力です。これらの強みを生かして付加価値を上げ、有田焼の継承と発展に貢献することを目指しています。食を通じて有田焼の魅力を発信し、少しでも地域の伝統継承に役立ちたいと思っています。

冷凍技術は、冷凍だから実現できる品質の安定と保存期間の長さが魅力です。お客様の期待を超えるおいしさをお届けし、冷凍の力を活かした新商品開発を積極的に進めていきながら、有田焼の未来に繋げます。

本件に関するプレスリリースをこちらからご覧いただけます。

https://www.d-break.co.jp/news/press-250227-aritayakicurry

プロフィール

企業名:株式会社プレアデス

代表:代表取締役 廉隅浩介

住所:佐賀県西松浦郡

事業内容:カフェレストラン経営、有田焼カレーの通販事業

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