2026.03.19 導入事例

事業継承した団子を全国へ。冷凍技術とレシピ改良で実現した販路拡大と計画生産

京都で漬物製造を手がける株式会社凪祥。取引先だった団子製造会社の事業継承をきっかけに和菓子事業を引き継ぎ、「大玉みたらし団子」の製造をスタートしました。しかし、団子は冷凍すると硬くなりやすく、流通にも制約が多い食品です。そこで同社は「アートロックフリーザー」を導入し、冷凍技術とレシピ改良を組み合わせることで、解凍後も柔らかい食感を再現。冷凍流通による販路拡大と計画生産を実現しました。和菓子事業の継承から急速冷凍導入後の変化、そして今後の展望について、事業責任者の海道様にお話を伺いました。

団子店の引退をきっかけに、和菓子事業を継承

ーーーーお漬物が本業とのことですが、なぜ冷凍の和菓子事業を始められたのですか。

もともとお取引先だった団子製造会社を事業継承する形で和菓子事業を始めました。漬物と和菓子はどちらも和の分野ですし、一緒に取り組めるのではないかと思ったことが背景です。事業継承した時からある商品が「大玉みたらし団子」で、一般的なお団子よりも大きいのが特徴。タレに使う醤油は京都産のものを使用しており、昔ながらの味を大切にしながら製造を続けています。

冷凍流通を目指し、急速冷凍機を導入

ーーーーアートロックフリーザーを導入したきっかけを教えてください。

和菓子事業を始めた当初から冷凍は活用していましたが、一般的な冷凍庫で凍らせていたため、団子が硬くなってしまうことが課題でした。また、遠距離配送や冷凍流通にも限界がありました。それらの課題を解消することが、アートロックフリーザーの導入の目的です。

現在、当社では冷凍した団子を解凍後にタレ付けし、パック詰めした状態で取引先へ卸していますが、解凍後の日持ちが2日間と短く、出荷可能なエリアが限定されるという課題がありました。そこで、フリーザー導入以降は、団子とタレをそれぞれ冷凍状態で納品し、販売先で解凍・仕上げを行っていただく販売方式へとシフトしています。この方法により、商品の品質を維持したまま出荷可能エリアを大きく拡大できるようになり、さらに販売先においても、販売タイミングを柔軟にコントロールできるというメリットが生まれました。

冷凍技術とレシピ改良で、柔らかい食感を再現

ーーーー冷凍団子の品質はいかがですか。

団子は冷凍するとどうしても硬くなりやすい食品です。ただ、アートロックで凍結した団子は、出来立てと同じぐらい柔らかい状態を再現できます。その柔らかさを実現するために、粉や砂糖の配合などレシピを調整しました。解凍後にベストな状態になるよう設計した、「冷凍することを前提とした団子」です。以前の緩慢冷凍ではレシピを工夫しても少し硬さが残ってしまいましたが、アートロックを導入したことで理想の食感を再現できるようになりました。冷凍技術とレシピ改良の両方があってこそ実現した品質だと思います。

タレについても同様に、冷凍対応を進めてきました。冷凍機導入当初は、解凍時に酸味が出る、白く濁る、ダマが残るといった品質上の課題が発生し、安定した商品化には大きな壁がありました。そこで、砂糖の配合バランスや煮込み時間、製造工程の見直しなど、あらゆる要素を一つひとつ検証しながら改善を重ねてきました。当時は試行錯誤の連続で、品質を安定させるまでには相当な時間と労力を要しました。その結果、現在では冷凍・解凍後でも安定した品質を保つタレの製造が可能となっています。

しかしながら、現状に満足することなく、より高い品質を目指し、今なお日々改良と検証を重ねている段階です。

計画生産で製造量を拡大

ーーーー導入後の変化について教えてください。

アートロックの導入後は計画生産ができるようになり、製造量の拡大に大きく貢献しています。白団子の場合、凍結時間は約40分で、従来の冷凍に比べて約5分の1の時間で凍結できます。時間計算がしやすくなったことで、製造の段取りも立てやすくなりました。白団子の製造には常時5人ほどが対応し、8,000〜1万本ほどを生産しています。

焼き目のついた団子は、一度冷凍した白団子を解凍してから手焼きする運用です。近隣向けにはそのまま出荷することもありますが、遠方へ送る場合は、焼いた後に再びアートロックで急速冷凍して出荷します。二度冷凍しても、現在のレシピと急速冷凍であれば食感に問題はありません。焼き目をつけることで香ばしさが増し、コクが出てタレとの相性も良くなります。

売上は約40%成長。団子事業が主力に

ーーーー売上の変化はいかがですか。

和菓子事業を始めて5年ほど、アートロックを導入して2年ほどになりますが、今では漬物事業より団子事業の方が好調です。急速冷凍を導入したことで遠距離配送が可能になり、関西圏だけでなく関東圏にも出荷できるようになりました。また計画生産によって製造量も増え、導入前と比べると売上は約40%ほど成長している感覚です。事業を引き継ぐ前の職人さんも、自分たちが作ってきた団子が全国に広がっていくことをとても喜んでくださっています。

冷凍を基盤に広がる販売チャネル

ーーーー販売先について教えてください。

主にスーパー、ホテル、レストラン、催事業者などに卸しています。基本的には団子とタレを冷凍でお届けし、お店で解凍して仕上げてもらって2日以内に提供していただく運用です。近隣のスーパーなどには、こちらで解凍してパック詰めした状態で出荷することもありますが、基本的にはすべて冷凍を前提とした商品です。高品質な冷凍技術があることが、事業の基盤になっています。レストランでは、和菓子デザートとして提供されているお店もあります。アートロックを導入してこの体制ができてまだ2年ほどなので、展示会などにも出展しながら販路開拓を進めているところです。

京都の和菓子を、世界へ

ーーーー今後の展望を教えてください。

今後は海外展開も目指しています。海外流通において冷凍は必須なので、冷凍技術を最大限に活かして取り組んでいきたいです。現在はアジアやアメリカからお声がけをいただいており、ご縁のある地域から展開していければと思います。

また、「冷凍のまま美味しく届ける」ということを軸に、和菓子と京都ブランドをもっと多くの方に知っていただきたいです。和菓子は美味しく食べられる期間が短いですが、出来立ての美味しさをそのまま封じ込めて届けることができれば、可能性は大きく広がります。品質を落とさずに冷凍し、繊細な味わいをそのまま届ける。そうした取り組みを続けながら、京都の和菓子の魅力を国内外に広げていきたいと思います。

プロフィール

  • 会社名:株式会社凪祥
  • 所在県:京都府
  • 代表者:代表取締役 森 大彦
  • 事業内容:漬物製造・販売、和菓子(団子)の製造販売