2026.04.15 導入事例

食卓に笑顔を。たこ焼き店「たこ一」が冷凍で実現した、ECと原価低減による新しい収益モデル

出来立て品質でEC事業が成長。計画仕込みで年間1000万円規模の利益改善も実現

大阪発のたこ焼き専門店として創業し、関東・関西で10店舗を展開する株式会社名代秘伝の味たこ一。ふわとろ食感のたこ焼きを強みに地域に愛される店づくりを続ける同社が、アートロックフリーザーを活用した冷凍たこ焼きのEC販売にも注力し、店舗運営と冷凍事業の両軸で成長を続けています。かつて一度は頓挫した挑戦を、なぜ再びスタートさせたのか。そして、アートロックフリーザーがどのように事業成長を支えているのか。代表取締役の上村克郎様に伺いました。

「両親からの差し入れ」から始まった構想。10年前からの挑戦

ーーーー冷凍を取り入れようと思われた背景を教えてください。

もともと両親が大阪でたこ焼き屋を営んでいて、私が引き継いだのが「たこ一」です。昔、余ったたこ焼きを家庭用の冷凍庫で凍らせて、私や兄の会社に送ってくれることがありました。お店で食べるものと比べると未完成でしたが、周りからの評判は良く、「これをちゃんとした形で商品化できないか」と思ったことが原点です。店舗を広く移転するタイミングで急速冷凍機を導入し、ECに挑戦しました。デイブレイクさんに初めて伺ったのは10年近く前になります。ただ、そのときはうまくいかず、一度事業を中断。そこから約3年後、改めてアートロックフリーザーを導入して再挑戦しています。現在はECが動き出し、月間40〜50万円ほどの売上が立つようになりました。

「美味しければ売れる」は通用しなかった。ECで学んだ売る力

ーーーー前回中断してしまった理由は何だったのでしょうか。

当時は30歳で飲食業しか経験がなかったこともあり、「美味しいものを作れば売れる」と思っていました。実店舗ではある程度それで成立しますが、ECはまったく別の世界です。マーケティングや導線設計といった「売る力」が圧倒的に足りなかった。結果として商品が回らず、在庫の品質も落ちてしまい、事業として成立しませんでした。

再挑戦の際は、その反省を踏まえて外部のウェブマーケティング担当を採用し、サイト構築や広告運用などの基盤を整えました。現在はその仕組みを自社で回しています。

たこ一のオフィシャルECサイト(https://takoichi.co.jp/

店舗営業と並行して冷凍製造。無理なく利益が残る仕組み

ーーーー現在の事業体制について教えてください。

現在は、たこ焼き店と居酒屋併設店を合わせて10店舗(関東・関西に5店舗ずつ)を運営しながら、EC販売を行っています。大阪の1店舗に小型のセントラルキッチンを併設しており、そこでたこ焼きやお好み焼きを冷凍。EC専用に仕込むというよりは、店舗の営業と並行して製造する形です。お客さまが少ない時間帯にたこ焼きを焼き、冷凍たこ焼きを造りながら、来店があれば焼きたてをそのまま販売する。この方法なら追加の人件費がほとんどかからず、冷凍事業の売上がそのまま利益に近い形で残ります。セントラルキッチンの家賃も月7万円程度なので、月40万円の売上でも十分な利益が出ます。

焼きたてをそのまま閉じ込める。冷凍でもふわとろを再現

ーーーー冷凍後の品質についてはいかがですか。

うちのたこ焼きは、外がふわっとしていて中がとろっとした食感が特徴ですが、その食感も風味も、冷凍・解凍後もほとんど変わりません。タコのぷりぷりした食感もきちんと残ります。ECのレビューでも「冷凍とは思えない」と書いていただくことが増えてきました。

7回以上リピートしてくださっているお客様にお話を伺ったところ、老人ホームでのおやつとして利用しているとのことでした。利用者の方にもスタッフの方にも好評で、定期的に注文してくださっているそうです。忙しくて買いに行けない方やご高齢で外出が難しい方に、本格的なたこ焼きを届けられる。これはアートロックの冷凍技術があってこそ実現できた価値だと思います。

品質を守るためのルールは「焼きたて即冷凍」

ーーーー凍結の方法について教えてください。

基本のルールは「焼きたてをすぐに冷凍する」ことです。焼き上がり直後にアートロックフリーザーに入れることで、水分をしっかり閉じ込め、外はふわふわ、中はとろっとした状態を保てます。凍結時間は最大量を入れても1時間弱。2日に1回ほど、2〜3回転させています。「余ったものを冷凍すればいいのでは」と考えたこともありましたが、時間が経つと湯気とともに風味が抜けてしまいます。そのため現在は焼きたてのみを冷凍しています。

また、ソースとマヨネーズを別添えにした商品に加え、ソース・マヨネーズ付きの商品開発にも挑戦しています。凍らせた見た目が非常に可愛らしく、解凍後も品質に問題がなかったため、商品化を検討中です。

タコの高騰に対応。冷凍で年間1000万円規模の利益改善

ーーーー導入前後での変化について教えてください。

EC売上の創出に加えて、大きかったのは原価低減です。特にタコの価格高騰は深刻で、モロッコ産の真蛸が従来の約3倍に値上がりしました。そこで、卸売市場から直接仕入れ、アートロックフリーザーで冷凍ストックする体制に切り替えました。タコは足を分解し、半割にして凍結。使用前日に冷蔵庫で解凍し、当日にカットして使います。この取り組みにより、仕入れ単価を1kgあたり2650円から2000円まで下げることができました。年間で見ると約1000万円規模の利益改善につながっています。

一般的な冷凍ではドリップが出やすい食材ですが、アートロックで凍結すれば品質は問題ありません。むしろ新鮮な状態で凍結することで、鮮度を保ったまま長期間保存できます。必要な分だけ使えるため、ロス削減にもつながっています。

セントラルキッチン化と身近なの笑顔の両立へ

ーーーー今後の展望を教えてください。

今後考えているのは、居酒屋メニューの計画仕込みです。セントラルキッチンで製造し各店舗に配送することで、品質の均一化とオペレーションの効率化が可能になります。例えば鮮魚の処理は技術が必要ですが、セントラルキッチンであれば限られた人材に集中して教育すればよく、店舗ごとの負担を減らせます。冷凍技術を活かした運営モデルを構築していきたいと考えています。

冷凍たこ焼きの事業においては、売上拡大はもちろんですが、それだけが目的ではありません。近所にたこ焼き屋がない方や、外出が難しい方に、美味しいたこ焼きを届けたいという想いがあります。「おばあちゃん、これ『たこ一』のやつやから温めて食べてや」そんな日常の一コマが増えていくことが、私にとっての理想です。

店舗でも同じで、目の前のお客様が笑顔でなければ意味がありません。規模の拡大を追うのではなく、一つひとつの食卓を豊かにする価値を届けていく。誰かの小さな喜びの連続、その積み重ねが、結果として事業の成長につながると考えています。アートロックの冷凍技術とともに、そのビジョンの実現に向けて取り組んでいきます。

プロフィール

  • 会社名:株式会社名代秘伝の味たこ一
  • 代表者:代表取締役 上村克郎
  • 所在地:大阪府
  • 事業内容:飲食事業、EC販売事業