アンケートでは参加者全員が「美味しい」と回答。冷凍寿司への理解が深まり、宿泊業界と冷凍技術の連携に向けた新たな一歩に
特殊冷凍テクノロジーの製品企画・開発と高品質冷凍商品のプラットフォームを運営するデイブレイク株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:木下昌之)は、2025年1月16日(木)、宿泊事業者向け高品質冷凍すし試食会をショールームで開催しました。試食会には宿泊業界関係者や報道関係者、合計約30名が参加。最先端の特殊冷凍機アートロックフリーザーを活用して開発したこれまでにない高品質な冷凍寿司について、理解を深める有意義な機会となりました。
できたての品質を再現する特殊冷凍は、食の発展に寄与する技術です。特に宿泊業界では、人手不足や泊食分離への対応、サービスの安定・向上といった課題解決に向け、冷凍技術の活用が注目されています。本試食会は、業界内での理解促進と可能性の共有を目的として開催しました。
試食会の冒頭では、デイブレイク取締役の片山良宏よりプレゼンテーションを行いました。デイブレイクの冷凍技術や事業展開のほか、宿泊業界が抱える人手不足や泊食分離といった課題・トレンドに対して冷凍技術がどのように貢献できる可能性があるのかを説明。さらに、株式会社ちよだ鮨とデイブレイクが共同研究し、前代未聞の冷蔵解凍が可能な高品質冷凍寿司を開発したこと(※)を発表しました。
続いて、参加者全員で実際に冷凍寿司を試食。今回、ちよだ鮨と開発した冷凍寿司と、一般的な冷凍庫で冷凍した寿司(緩慢冷凍)の2種類を、いずれも冷蔵解凍で解凍して提供し、その品質を比較していただきました。高品質な寿司に対しては「美味しい」「冷凍だと感じない」などの声が多くあがった一方で、緩慢冷凍との比較については、特にシャリの食感や風味の違いが顕著で、多くの参加者が「ここまで違うのか」と驚きを隠せない様子でした。
試食後に実施したアンケートでは、参加者全員が「おいしい」(「とてもおいしかった(15.4%)、「おいしかった(84.6%)」の合計)と評価。「冷蔵解凍の寿司を探していたので非常に嬉しい発見でした」「今後の宿泊業界の新しい可能性を感じました」といったポジティブな意見が多数寄せられ、冷凍すしの可能性を強く印象付ける結果となりました。
続いて、株式会社ちよだ鮨 商品開発部部長 小野寺大樹氏と、KNTCT-ホールディングス株式会社 執行役員 安岡宗秀氏をゲストに迎えたパネルディスカッションを実施。3つのテーマ「宿泊業界における冷凍寿司の可能性。どのような需要が考えられるか」「冷凍寿司の開発秘話、冷蔵解凍に挑もうと思った理由、苦労したこと」「冷凍寿司・冷凍技術を活用して今後挑戦したいこと、展望」について、それぞれのご意見を伺いました。
テーマ1「宿泊業界における冷凍寿司の可能性。どのような需要が考えられるか」
本テーマについては、KNTCT-ホールディングスの安岡氏からご回答いただきました。
安岡氏は、「旬の食材をいつでも提供ができるというところに可能性があるのではないか。まさに泊食分離でインバウンドが増え、お刺身やお寿司、天ぷらなど日本食のニーズはさらに高まっている。観光協会や自治体、温泉組合等々、エリアで協力して泊食分離の検討を進められており、人手不足の問題の中で人手や時間をかけずに提供できることは非常に価値があると考えています」とお話されました。
テーマ2「冷凍寿司の開発秘話、冷蔵解凍に挑もうと思った理由、苦労したこと」
続いてのテーマについてはちよだ鮨の小野寺氏から回答いただきました。
小野寺氏は、「最初は押し寿司の冷凍に取り組んでいたが、競争相手が多く将来性がないと断念。我々が得意とする握り寿司で勝負できないかと、開発を始めました。そして、流水解凍やレンジ解凍の冷凍寿司も流通しているが、加減が難しい。冷蔵庫が利用者にとっては一番良いのではないかと、冷蔵解凍に踏み込みました」と冷蔵解凍に挑んだ理由をコメント。
さらに、「一番ネックになったのはシャリの白蝋化。ありとあらゆる取り組みをして、あるレシピで成功しそうな道筋が見えました。私たちが目指している冷凍寿司のレベルは、チルドに負けない、店頭で売っている弊社の鮨と変わらないもの。これからもお米の開発や酢の開発に取り組んでいきたい」と開発秘話をお話されました。
テーマ3「冷凍寿司・冷凍技術を活用して今後挑戦したいこと、展望」
最後のテーマには、KNTCT-ホールディングスの安岡氏とちよだ鮨の小野寺氏それぞれご回答いただきました。
KNTCT-ホールディングスの安岡氏は、「一つはハラールの対応。私どものグループではスポーツ事業にも力を入れており、世界大会の選手の宿泊輸送や食事提供などをお手伝いさせていただいている。そこで気づいたのが、選手の中にはハラールを求める方がいらっしゃるが、宿泊施設の多くが対応していないということ。インバウンドが増えている今、観光地においても同じ現象が起きている。調理に手間のかかるハラールの部分を切り取って、冷凍で高い品質の食事を提供する仕組みを作りたい」
「もう一つは、地域の観光のみならず食材を海外にPRする新規事業での連携。地域に眠る食材を海外に発信することに取り組んでいるが、当社が展開している「おにぎり店舗」について、海外店舗を広げていく中で、小さな物件でやろうとすると「火が使えない」制約がある。でも、お客様からは火を入れたものも人気で、どうしても火を使わないといけない。調理済みの料理を冷凍し、湯煎であたためて提供できれば、火が使えない店舗でもメニューの幅が広がる」とコメントしました。
これに対してデイブレイク取締役の片山も、「火を使わない、煙が出ないというのは冷凍の特長の一つ。駅中の極小スペースが余っているが、火が使えないことや煙が出ることなど様々な制約があってなかなか活用できていない。冷凍はそこを突破できる可能性があると我々も思う」と説明しました。
ちよだ鮨の小野寺氏は、「ホテルやレストランの方々への提供以外に、病院や介護施設など、なかなかお寿司を食べる機会に巡り合わない方にもお召し上がりいただきたい。弊社で昔、介護施設で握りたてのお寿司を召し上がっていただくボランティア活動を行ったことがあり、大変喜んでいただいた。食べたくても食べられない環境で、冷蔵解凍のお寿司が品質を管理されて安全安心で召し上がっていただけると、私たちにとっても非常に喜ばしい」
「もう一つは海外。今、デイブレイク社と一緒にアメリカを攻めようと取り組んでいるが、大切なのは、日本の生産者の方と私たちが一緒になって、日本のブランドを海外に発信していくということ。日本の輸出品は自動車だけではなくお寿司も素晴らしいものが提供できるんだということを伝え、挑戦していきたい」と今後の展望をお話されました。
最後に、実際にアートロックフリーザーを使用してすしを凍結するデモンストレーションも実施。短時間で芯まで凍結された寿司を見て、参加者から感嘆の声が上がりました。
高品質冷凍寿司は、宿泊業界の課題解決と提供価値を高める新しい選択肢となる可能性を秘めています。本日の試食会は、冷凍寿司の品質と可能性を実感してもらい、宿泊業界と冷凍技術の連携に向けた新たな一歩を記すものとなりました。デイブレイクは、今回の試食会を契機に、さらなる商品改良を進め、宿泊業界の課題解決や発展に寄与していくことを目指します。