広島県東広島市で和食店「華ごころ」を運営する株式会社エムエイチ。クエやフグ、スッポンといった高級食材を扱う同店は、伝統的な和食の技術を大切にしながら、新たな挑戦として冷凍技術の活用に取り組んでいます。うなぎわっぱ飯のEC展開を機に始まった冷凍活用は、現在では新商品開発やロス削減、さらにはキッチンカーなど、多方面へと広がりを見せています。アートロックフリーザーの導入背景から現在の取り組み、そして今後の展望について、代表取締役の宮岡睦尚様に伺いました。
ーーーーアートロックフリーザーを導入された背景を教えてください。
コロナ禍で事業再構築補助金があった時期に、金融機関の方から冷凍EC販売の提案を受けたのがきっかけです。そこから複数の冷凍機を見学しましたが、最終的にアートロックフリーザーを選びました。理由は、最新の技術であることに加えて、「デイブレイクファミリー会」というコミュニティの存在が大きかったです。単に機械を導入するだけではなく、顧客の声をしっかり聞く姿勢や、事業者同士をつないでくれる点。さらに、ノウハウがしっかり蓄積されているという安心感がありました。
ーーーー導入後はどのような取り組みをされていますか。
まずは、東広島ブランドの「黒瀬のクロウナギ」や天然あなごなどの特産品を使用し、炊き立てのご飯と一緒にわっぱに詰め込んだ「わっぱ飯」シリーズを冷凍でEC販売するところからスタートしました。紀州備長炭を使用していて、香りの良さが大きな特徴です。この香りが残らなければ冷凍商品として成立しないと思っていましたが、実際にアートロックで冷凍してみると、解凍後に見事に香りを再現でき、想像以上の実力に驚きました。特別な冷凍用のレシピを組むこともなく、店舗で提供しているものをそのまま冷凍商品化することに成功。販売開始から1年半ほどで、少しずつ売上も立ち上がってきています。

ーーーー冷凍「うなぎわっぱ飯」の製造方法について教えてください。
ご飯と具材を盛り付けて、うなぎの香りを閉じ込めるために蓋をした状態で冷凍しています。ご飯とうなぎを後から合わせるのではなく、そのまま電子レンジで解凍できる設計です。品質面では問題なく仕上がっていますが、今後は凍結スピードの向上に向けて改善の余地があるかもしれません。
ーーーー新商品の開発も進めているのですか。
東広島のブランド食材である「こい地鶏」を使った冷凍ラーメンを、約1年前から開発しています。いよいよ販売できるレベルまで仕上がってきたので、この商品も「わっぱ飯」シリーズと同様、冷凍でEC販売する予定です。電子レンジで8〜10分温めるだけで食べられるラーメンで、スープも具材もすべて入っています。まずスープを凍らせて、その上に麺、さらに具材を重ねて冷凍。スープにはこい地鶏の出汁を使用しており、旨味が非常に豊かです。冷凍しても、その味わいがしっかり再現できます。



また、現在キッチンカーの展開も進め、天ぷらなどの揚げ物を中心に提供しています。中でも「せんじ揚げ」という広島名物が人気で、現在は揚げたてを提供していますが、これも冷凍商品として展開できる可能性があると期待しています。
ーーーー冷凍導入による変化を教えてください。
冷凍商品の開発・販売は着実に進めていますが、それだけでなく、和食店「華ごころ」で使用する魚や加工品を仕込み段階で冷凍することで、計画的な仕込みやロス削減にも役立っています。
アートロックを導入してからは、冷凍に対して抵抗がなくなり、「いい状態で保存できる」という安心感に変わりました。例えば東広島の特産食材の一つであるタコも、低温調理でプリッと仕上げたものを急速冷凍すれば、解凍後もほぼそのまま再現できます(解凍方法は流水解凍でも自然解凍でも問題ない)。また、フグのように「絞る」という脱水工程がある食材も、冷凍との相性が非常に良いです。もちろん、生ならではの熟成や風味も魅力ですから、生と冷凍それぞれの良さを活かした使い分けをしていきたいと考えています。

ーーーー今後の展望について教えてください。
アートロックフリーザーを導入したことで、できることの幅が大きく広がりました。例えば、地元のうどん店とキッチンカーでコラボし、天ぷらとうどんを組み合わせた商品開発の話も進んでいます。イベントで残ったうどん(残ったと言っても、当日中の鮮度の良いもの)を冷凍し、別の商品として再活用することもできる。冷凍技術があることで多彩なアイデアが生まれ、それを実現できるようになったことは、大きな進展です。小売への卸なども視野に入れており、将来的には海外展開も見据えながら、うなぎやタコ、地鶏など、東広島の美味しい食材を広く届け、和食の魅力を多くの人に伝えていきたいと考えています。

ーーーーアートロックを導入してよかったと感じることは何でしょうか。
一番は、デイブレイクファミリー会というコミュニティの存在によって、「一人じゃない」と思えたことです。冷凍食品の開発は本来チームで取り組むものですが、日々の業務に追われる中で、新しい挑戦に踏み出すのは簡単ではありません。その中で、同じように冷凍に向き合う仲間と情報交換ができ、質問すればノウハウを持つ方から答えが返ってくる環境があることは、私たちにとって大きな支えです。デイブレイクの皆さんの姿勢や、コミュニティの存在は非常に価値のあるものだと感じています。時には自分たちの知見も共有しながら、これからも仲間と切磋琢磨し、より良いものづくりに挑戦してまいります。
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