千葉県銚子港は、日本一の水揚げ量を誇る漁港として知られています。この地に根ざし、水産業を営む飯田水産は、特にイワシやサバ、アジなどの青魚を中心とした冷凍原料を取り扱い、仲卸事業を展開しています。ここで流通する多くの商材は、港に冷凍状態で到着する魚を一度解凍し加工を施した上で再凍結するツーフローズン方式ですが、飯田水産はデイブレイクのアートロックフリーザーを導入し、ワンフローズン方式に挑戦。冷凍技術を活用した新規事業を始めた背景や手ごたえについて、飯田寛彦代表にお話をお聞きしました。
ーーーこれまでの会社の歩みや事業展開について教えてください
飯田水産を起業してから18年。47歳の時に協力者とともに5人で創業しました。水産業界で24年間培った目利き力を活かして水産仲卸の事業を展開し、初年度から売上は37億円ほど。新しい人員も増えて、今従業員が21人です。仲卸事業では、冷凍された状態で港についた魚、主にイワシやサバ、アジなどの青魚を仕入れ、解凍して加工を施した上でプレハブ冷凍庫で再凍結する「ツーフローズン方式」で、市場に流通させています。水揚げ量日本一を誇る銚子港の資源を活かした事業が軌道に乗り、ここ3年で売上を70億円から105億円にまで伸ばしました。21人の少人数体制ながら、銚子市内で数少ない年商100億円企業の一つです。

ーーーーアートロックフリーザーを活用した新規事業について教えてください
とれたての鮮度を保てるアートロックフリーザーを活用して、主力事業とは異なる、「ワンフローズン」で流通させる事業を始めました。銚子港に届いたイワシやサバを三枚おろしやドレス、刺身状などに一次加工し、最も鮮度が高い状態でアートロックフリーザーで急速冷凍。それらの冷凍鮮魚を国内外の飲食店に直接供給する流通モデルです。とれたての鮮度を再現でき、なおかつ店舗では簡単な最終調理だけでよい状態で届けられれば、素材にこだわる高級すし店などにニーズがあると考えました。
ただ、この事業を始めて気づいたのは、こだわりの強い店ほど、「極力手を加えず、より鮮度の高いマルの状態で凍結して欲しいと思っている」ということです。現地で加工してから凍結をすることで、付加価値を出すことを求められていると思っていましたが、単に調理の手間を省くのではなく、食材そのものの品質を重視されていました。反対に、加工の仕方にこだわる卸先もあります。中にはこんな風に加工してほしいと、職人自ら加工場に足を運んでレクチャーしてくださることもあり、新規事業として色々な手法を取り入れてみようと、柔軟に顧客の多様なニーズに応えています。

ーーーー新規事業では現在どのようなお店に卸しているのでしょうか。
デイブレイクの食品流通事業と連携して、石川県や福井県の回転寿司店に直接供給しています。生産地では、毎日とれるものや物量が変化するため、顧客に物量を確約することができません。飲食店側も、食材が入荷できないとそのメニューを提供できなくなってしまう。冷凍技術を活用することで、年間通じて安定した品質で提供できるのはお客様からお喜びいただいてます。
新規事業のワンフローズンで提供して出している中で、最も販売量が伸びた魚種はイワシです。一般で流通している冷凍イワシと比較して、アートロックフリーザーで凍結したものは、色、匂い、食感が各段に向上しました。イワシのほかにも、品質の違いが顕著だった伊勢海老の冷凍販売も行っています。伊勢海老は、気候変動によってとれる地域が変化してきているものの一つです。本場だった伊勢での水揚げ量が減り、とれる地域が北上してきている。こうした産地の変化にも、冷凍技術は存在価値を発揮すると思います。

ーーーー新規事業をどのように展開させたいとお考えですか。
日本一の水揚げ量を誇る銚子で、地のものを出せることが、ここでやる意義です。例えば天ぷらに使用する白身魚にしても、銚子産であることを謳うと、輸入品と比較して付加価値になる。和食に限らずフレンチやイタリアンでも、前菜など生の魚を使った料理を出したい時に、ワンフローズンの高品質な魚をいつでも使えるようになると、手間をかけずに一皿の質がワンランク上がります。生の魚を使いたいが、虫(アニサキス)の問題で使えないお店に対しても、限りなく生に近い品質のものを提供できるでしょう。

うちは1日何万食も作る工場とは違い小回りが効くので、こういう風に切ってくださいという要望を受け入れられるところも強みの一つです。どんな料理にどう使うのか、提供の仕方から一緒に考えられる関係性になれれば理想的ですね。国内に限らず海外でも銚子のブランドは評価されますから、海外展開も見据えていきたいです。
ーーーー地域への貢献も考えていらっしゃるのでしょうか。
地元の産品を積極的に提案することで、地域経済にも貢献することも目指しています。銚子はもともと、江戸、水戸に次ぐ関東で三番目の大都市でした。日本各地の物資が銚子を経由して江戸へ運ばれる物流拠点として繁栄し、地元の人と来訪者の交流により多様な文化と産業が紡がれてきました。観光地としても人気で、地域の旅館は予約が取れない時期もあったと聞きます。それが最近は人口も観光客も減り、地域の資産である水産業においても、高齢化や若者の漁業離れにより後継者不足が進み、伝統的な産業と地域経済を支える人材が減少しています。
銚子でしかとれないもの、銚子だから美味しいものを新鮮なまま全国に届け、その品質を体験していただければ、銚子の魅力を再認識していただける機会になります。地のものと最新の冷凍技術を融合させながら、地域の誇りを次世代へ繋ぎ、銚子の繁栄と活気を取り戻すことに貢献できたらと思います。

ーーーー冷凍技術に期待することはありますか。
新規事業を始めて感じたのは、値段が高くても良いものを買いたい人と、安いものを求める人の二極化しているということ。牛丼のように、安くて美味しいものを提供しているところとは戦えません。我々が相手にしていくのは品質にこだわる人たちで、それらの層に評価される付加価値を高めるためには、冷凍技術が活躍する余地がまだまだある。その方法やアイデアを一緒に考えられたら、強力なパートナーになれると期待しています。
そもそも、これまでの冷凍原料を売っているだけでは知り合えないお客様と出会い、繋がることができたのはアートロックフリーザーを購入して事業を立ち上げたからです。人との繋がりや出会いで事業は広がっていく。いい出会いが会社を決める。新しい世界を見せてくれた冷凍技術は、かけがえのない存在です。
企業名:飯田水産株式会社
代表:代表取締役 飯田寛彦
住所:千葉県銚子市川口町
事業内容:水産仲卸事業、水産品の加工販売事業
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