2026.02.03 セミナー デイブレイク主催イベント 導入事例 研究レポート 漁業・水産加工 魚介 計画生産 販路拡大 食品ロス 関東

【FROZENかまぼこ祭り開催レポート】かまぼこは日本を代表する食文化。次世代に繋ぐための選択肢としての冷凍技術

気候変動や原材料の高騰など、水産加工を取り巻く環境は厳しさを増しています。とりわけ、職人の技と手間に支えられてきたかまぼこ産業においては、品質を守りながら事業をどのように持続・発展させていくかが大きな課題とされています。こうした状況を背景に、デイブレイクは1月30日、「FROZENかまぼこ祭り」を開催しました。冷凍技術をかまぼこ事業にどのように活用できるのか、実際の導入事例や凍結実演、食べ比べ試食を通じて提案した本イベントのレポートをお届けします。

デイブレイクの冷凍機販売にとどまらない支援体制

まずはじめに、デイブレイク代表の木下より、デイブレイクの取り組みについて紹介。 特殊冷凍機アートロックフリーザーの販売を行うだけでなく、調理・保管・解凍といった各オペレーションにおいても、業界ごとの専門企業と連携しながらサポートを行っていることを紹介しました。そして、「今回のイベントは、近年さまざまな課題が生じているかまぼこ業界において、冷凍技術がどのように貢献できるのかを、具体的に提案したいという思いから開催した」と述べ、技術紹介にとどまらず、現場に即した活用方法を共有する場であることを強調しました。

明治11年創業・井上蒲鉾店のものづくり

続いて登壇したのは、神奈川県大磯町で明治11年から練り製品を製造する、株式会社井上蒲鉾店 五代目当主の井上寧氏。同店では、かまぼこ・はんぺん・さつま揚げの3種類のみを製造しており、かまぼことはんぺんは、生魚のグチを使用し、すり身づくりから自社で行っています。井上氏は、「練り製品は水産加工品の中でも、最も手間がかかる商品」と説明し、伝統的な製法を守り続けることの大変さを述べました。

「何かを変えなければ」という危機感から冷凍に着目

井上氏は、急速冷凍機の導入背景を次のように説明しました。

(井上氏)かまぼこを日常的に食べる人が減り、スーパーの売り場は縮小し、ギフトカタログからも姿を消しつつあります。この流れに飲み込まれてはいけない。練り製品は日本を代表する食文化で、未来まで繋げたいという思いから、「まずはお客様の要望を汲み取る事から始めよう」と考えました。お客様の声を聞いてみると、「離島へ送りたい」「海外へ届けたい」といった声が多く寄せられていました。しかし、井上蒲鉾店の商品は賞味期限が短く、冷蔵での対応には限界がある。そこで着目したのが冷凍技術でした。

スモールスタートで実現した冷凍活用。強いローカルブランドを目指して

(井上氏)もともと急速冷凍には興味があり、色々と情報収集をしていた時にデイブレイクの急速冷凍機を知り、複数回のテストを実施。品質面で十分な手応えを得ることができたため、ものづくり補助金を活用して初期投資を抑えてスタートを切ることができました。導入後まもなく、東京の蕎麦店「蕎麦前 山都」から声がかかり、冷凍での納品を提案。最初は「冷凍は不味い、品質が良くない」というイメージから抵抗があったようでしたが、ブラインドテストの結果、品質面で高い評価を得て、冷凍かまぼこの取引が始まりました(※)。

(※)「蕎麦前 山都」への導入事例記事はこちらからご覧いただけます。「美味しさを守れるなら、冷凍を選ぶ。『蕎麦前 山都』が選び続ける、井上蒲鉾店の冷凍かまぼこ活用事例

井上蒲鉾店が目指しているのは、「大きくする」ことではなく、「強く、末長く続ける」ことです。大磯という地域があってこその店であり、販売の中心はあくまで店舗。冷凍技術は、大量販売のためではなく、「井上の味」を知ってもらうための広告宣伝の手段として活用しています。卸販売は、新たな顧客との接点を生み、結果として店舗への来訪につながる導線づくりになっています。

冷凍によるB品活用によって広がった可能性

(井上氏)冷凍導入によって、想定していなかった効果も生まれました。年末年始の繁忙期には生産量が増え、一定数のB品が発生します。冷凍導入前は、短期間で消費するしかありませんでしたが、現在は冷凍保管することで、子ども食堂への寄付や試食品の安定供給、イベントでの活用など、さまざまな形で役立てられています。廃棄削減だけでなく、新たな価値創出につながる取り組みです。

凍結実演と食べ比べで実感する冷凍技術

イベント後半では、アートロックフリーザーを用いた凍結実演が行われました。デイブレイクのエリアマネージャー宮寺が、気流の特徴やファン構造について解説しながら、実際の凍結工程を紹介。かまぼこの冷凍においても、生の状態への再現性が高いことを述べました。

第二部の試食会では、井上蒲鉾店の冷凍品と未冷凍品の食べ比べを実施。それぞれを試食した参加者からは、「見た目も、味も、食感も、違いが分からない」「冷凍も美味しい」といった声が多く聞かれました。

また、同じくアートロックフリーザーの導入ユーザーである丸一土井水産が手掛ける冷凍さつま揚げ(※)の試食も実施。揚げる前の状態で冷凍し、直前に揚げたものと、揚げたてを冷凍したものの2種類を提供しました。参加者からは、「どちらも美味しい」と高く評価され、用途によって応じた冷凍活用の可能性が示されました。

(※)丸一土井水産の導入事例記事はこちらからご覧いただけます。「弾力が魅力のかまぼこの食感を再現し、製造量は2倍以上に。揚げたて冷凍で、人手不足社会に応える商品開発にも挑戦」

冷凍は選択肢の一つ。未来へ向けて

質疑応答や自由交流では、冷凍の可能性や高品質が実現できるメカニズムなどについて議論され、各社の課題や販売戦略についての意見交換が行われました。

井上氏は最後に、「練り物には地域ごとの特性があり、正解は一つではありません。冷凍機を活用して、まずはスモールスタートを切るという考え方も、一つの選択肢ではないでしょうか」とコメント。最後に、デイブレイク代表木下より「本イベントが、冷凍という選択肢に目を向けるきっかけになれば嬉しく思います。冷凍技術を通じて力になれることがあれば、ぜひ相談していただきたい」と参加者への感謝を述べ、イベントを締めくくりました。

「FROZENかまぼこ祭り」は、かまぼこ産業における冷凍技術の可能性を考える場となりました。デイブレイクはこれからも、技術の提供にとどまらず、さまざまな業界が抱える課題解決に伴走するパートナーとして、現場に寄り添った企画や支援を続けてまいります。

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