外食産業において深刻化する人手不足。将来的にはさらにその影響が拡大すると予測される中、いかにして持続可能な経営体制を構築するかは、大きな課題となっています。こうした背景のもと、株式会社きらくでは冷凍技術を活用した新たな事業モデルを構築。アートロックフリーザーの導入により、労働環境の改善と売上向上の両立を実現しています。今回は、その取り組みの背景から具体的な活用方法、導入後の変化、今後の展望について、専務取締役の辻野太郎様にお話を伺いました。
ーーーーアートロックフリーザーを導入いただいた背景を教えてください。
これからの日本は労働人口が急速に減少し、2040年には約1100万人の労働力が不足すると言われています。現時点でも人手不足は顕在化していますが、今後はさらに深刻化することが予想されます。そうした環境下で事業を継続・成長させていくためには、従来の労働集約型のオペレーションから脱却し、効率的な生産体制へと移行する必要があると考えました。そのために今のうちから講じる対策として着目したのが冷凍技術です。冷凍を活用することで、製造のタイミングをコントロールし、計画的な生産が可能になります。また、コロナ禍による経営環境の悪化もあり、新たな収益源の確立という意味でも、冷凍食品事業への参入を決断しました。
ーーーーデイブレイクを知ったきっかけと、選定理由を教えてください。
コロナ禍が始まる少し前に、船井総研のコンサルタントからデイブレイクのアートロックフリーザーを紹介されたことがきっかけです。実際に冷凍後の品質を確認したところ、解凍後も高いレベルで味や食感が再現されており、商品開発にも十分に活用できると判断し、導入を決めました。また、アルコールの凍結機もあわせて導入し、それぞれの強みを活かした商品開発を行っています。

ーーーー冷凍技術はどのように活用されていますか。
まず一つは、ぐるなびが展開する「ぐるなびプレミアムミールキット」(https://gpmk.jp/pages/shoplist)に向けたOEM開発・製造です。予約困難な高級レストランの料理を家庭で楽しめるサービスで、当社は対象の約30店舗のうち関西エリアの製造を担っています。
例えば、京都を代表する日本料理の予約困難店「緒方」の名物料理である「明石産天然真鯛と実山椒の炊き込みご飯」など、これまで商品化が難しかったメニューの再現にも成功しました。当社は、うどんやラーメン、とんかつ、お好み焼きなど多様な業態を展開しています。その中で培った調理技術やレシピ開発力を活かし、冷凍に適した形へと最適化することで、店舗同等の品質を実現。ミシュラン掲載店のメニューや、キャビアを使用したパスタなど、高付加価値商品の製造にも取り組んでいます。
製造面では、まとまった数量の注文に対して一括生産を行うため、「この日はこの店舗の商品を作る」と計画を立てて、効率的な製造体制を構築できています。中でも「にくの匠 三芳」の神戸牛ハンバーグサンドは、年間約7,000個を製造。サービス全体でもトップクラスの販売実績を記録しました。

ーーーーその他の販売チャネルについて教えてください。
百貨店への卸販売も行っており、冷凍エビフライなどの惣菜を提供しています。店舗ではスチームコンベクションオーブンを使用して解凍・加熱し、お弁当の具材として活用されています。このモデルにより、店舗側の調理負担を軽減しながら、高品質な商品提供を実現。現在は約10種類の商品を展開しており、好評をいただいています。
また、自社ブランド「FROZEN DOOR(フローズンドア)」の商品も展開しており、「極味~KIWAMI~コロッケ」などを冷凍ショーケースで販売しています。


さらに、冷凍宅配サービス「homeal」との共同開発も実施。「ぐんぐんうどん」という栄養機能食品を開発しました。1玉で1日分のカルシウムを摂取できる設計で、当社の製麺技術と冷凍技術を掛け合わせることで、打ち立てのような食感を再現。このように、OEM、卸、PB、共同開発と、多角的に冷凍事業を展開しています。
ーーーー導入後の変化について教えてください。
新しい売上創出に加えて、働き方が改善されました。例えば、年末の繁忙期には、年越しそばが3日間で約5万食売れます。そのうち約2万食分の天ぷらを、これまでは社員が交代で揚げ続ける必要があり、大きな負担となっていました。しかし現在は、7月頃から計画的に製造・冷凍を行い、年末に各店舗へ配送する体制へと変更しています。これにより、従業員は当日の販売業務に集中できるようになり、労働環境は大きく改善しました。さらに、この取り組みの結果、売上も前年比110%に向上しています。

また、餃子や焼売、コロッケのタネ、さらには漬物まで、一括製造し冷凍配送する体制を構築。漬物については製造業免許も取得し、安定した供給体制を整えました。これにより、店舗の作業負担が軽減されるとともに、品質の均一化も実現。セントラルキッチン機能の強化は、事業として最も成長した部分かもしれません。


ーーーー今後の展望についてお聞かせください。
当初は海外展開も検討していましたが、物流コストの課題から見送りました。一方で、国内では人手不足が進行しており、調理済みの冷凍食品へのニーズは今後さらに高まると見ています。今後は国内市場に注力し、人手不足に悩む企業に対して、現場の負担を軽減しながらサービス品質を向上できる商品を提供していきたいと考えています。
アートロックフリーザーの導入から約3年が経ち、当初の目的であった「人手不足への対策」も着実に形にになりつつあり、労働環境の改善と売上向上の両面で、確かな成果が表れています。今後はこの成功モデルをさらに拡大し、これからの時代も成長できる外食産業のあり方を追求していきます。
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